ルエミーザ博士の考古学講義 第一回 「はじめに」

al001歴史は変わっていく物だ。

もちろん歴史そのものは過去の物であって、修正したりできるものではない。君たちが知る事の出来る「歴史」と言う物の話だ。

考古学に限らずあらゆる学説は提示された後、その他幾多の説と繋げられ最も納得がいく物が多くの学者によって選ばれて決まっていく物なのだ。だから新たな発見があれば、それまでの説とのつじつまを合わせながら形を変えていく。
そういった学説の中にはイレギュラーと言う物が存在する。どう考えても今までの説とつじつまが合わないものだ。発掘された物的な証拠があったとしても、つじつまがあわなければイレギュラー、珍学説などと呼ばれてしまうわけだ。

しかしそれをイレギュラーだと簡単に破棄してしまうには、あまりにそれが好奇心をそそるのだ。夢がある。
我々小杉一家は、そういったイレギュラーにこそ真実が隠されているという持論を元に、自ら現地に赴いて物的証拠を集めて研究しているのだ。もちろんそれは想像の域を出ないものもあるし、時にはまがい物を掴まされてしまうこともある。決して表に出して公表する物ではないが、まぁ私の家に受け継がれる知りたがりの血が納得すればいいのだ。一族に続く趣味だとでも思ってもらえばいい。

さて、これから講義を始めていく訳だが、今言ったように考古学によって導きだされている文明の歴史と言う物は穴だらけだ。「謎」ということでそのままにしている箇所が多い。
それはそうだろう。五千年前、三千年前と言葉で言うのは簡単だが、そこには我々と同じように人が生活していて、その日その日に笑ったり怒ったり恋をしたりしているわけだ。それらの全てが書として残されている訳がない。その時何が起こったかなど正確な事がわかる訳はないのだ。正式と言われる学説でも数々の記録から繋がりを想像しているのだ。
ならばイレギュラーと呼ばれる珍学説、オカルト、宇宙考古学、あらゆるものを取り込んで想像してみるのも面白いだろうという話だ。

もし君がこんな考古学ジャンキーな一家の想像の産物に興味を持ってくれたなら、講義を聞いてみてくれ。
知らない世界があると言う事、知識を得る事も娯楽になると言う事を体感してもらおうと思う。