前回触れましたが、LA-MULANA for WiiWareに関しては、旧版のグラフィック、音楽への切り替えモードはありません。
そこに期待されても何も出ません。
理由は簡単。両方入れたらWiiWareの容量内に収まらないから。
グラフィックを完全リメイクするに至った過程やポリシーなんかは前回書いたのでいいとして、今発表しているグラフィックに至るまでの過程の話でも。
一番最初に出したイメージ。
これはWiiで作ると思ってなかった(XBoxって計画もあった)ので、ワイド画面の高解像度です。
ま、これはいいとしてWiiWareでやるという事が決まってから、Wiiのスペックだけは調べて、解像度が640*480ということでラフイメージを作り始める。
この絵が出る前に下調べや鉛筆書きのラフスケッチが山のように存在するんだが、それはまた今度。
この時点では、「640*480ってどこまでも描き込めるなぁ〜」と次世代機が与えてくれるドリームに酔いしれていました。
そして体制が整い、実機を使った研究開発が始まって仕様を把握して企画もまとまった時、とんでもない事態に出くわす。
LA-MULANAに必要な画像枚数を割り出す+追加要素も含めて最終画像量を割り出す=容量オーバー
まいった。
すでにこの手のラフイメージを巨人霊廟まで作り込んでいた私。
マップパーツ数を旧版と同じ程度にして高解像度になった事を売りにするか、解像度を落としてでもマップチップ数の増大でまるで違うマップを楽しんでもらうか。
先が見えないので判断がしづらかったですが、後者を選びグラフィック作業の全やり直しを確定。
解像度を320*240に変更。
仕方がない。解像度を半分にしてドット打ち直そう。
しかし他の二人からは低解像度の方が気分が落ち着くと言われてたしな。
絵の問題って今は売れ行きにも影響するから、どっちが正しいかその時点では判断できなかったね。
賭けでしかなかった。
高解像度版のラフイメージを元に解像度を落としてドット打ちを始めたんですが、何か違和感が。
高解像度版に追いつくまで描き込んだが違和感が消えない。
なんだ。
実は描いてる最中から薄々感じてはいたが、「ショボくさい」んだな。
高解像度でごまかしていた部分が低解像度にする事で一気に表に出ちゃう訳だ。
ディティールが減る分、全体の色バランスや雰囲気を考えないとこうなるんだな。
これじゃMSX1グラフィックをMSX2にしましたってレベルで止まってる。
なんて俺はドット絵がヘタクソなんだ。死ね!死ね!いや、死ぬものか。
ここでグラフィック作業を全て止め、ならむら会議(頭の中の24人のならむらが会議する)に入る。
既存の遺跡からイメージを膨らませる手法は間違ってない。では何が足りないか。
まず完全に不足しているのが空気感だ。つまり奥行きがない、深みが無い、すごみが無い。
レトロゲーム時代のドット絵が美しいと思われるのはなぜか?
答えは色にある。
ということで新手の色の管理の仕方を編み出した。
あとはドット打ちのせいで無くなっている存在感とでも言うか。
絵っていうのは全体を捉えながら徐々に描き込んで完成させるんだけども、ドット打ちは常に最小単位の書き込みをやっているようなものなので、こういう全体のまとまりの無い、それは石なのか何なのかみたいな絵になりがちな訳で。
そこで、NIGOROを始めてから今までフルカラー画像でレトロゲームの雰囲気を壊さないグラフィック作りを試行錯誤していた研究結果からグラフィック作成方法を編み出す。
もはやドット打ちではないが。
そしてこうなったわけだ。自分でも納得出来たし、メンバーにも好評だったのでこのスタイルでいく事に。
しかしつい最近、この解像度じゃテレビによってはステータス部分が入らないという問題が発覚。
解決方法はいくつか出されたが、一番確実なのが解像度を512*384にする事。
でもまた全部描き直しはいやです。この問題は画面サイズやステータスの位置をコンフィグで設定変更出来るように考えます。
こんな過程でこういうグラフィックが産まれました。
中にはグラフィックが緻密(つっても解像度は旧版とそんなに変わらないが)になったおかげで仕掛けや敵が見づらくなるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことNIGOROが見落とすはずが無い。
そもそも仕掛けも敵もまだ作り始めた所だよ。
主人公や敵はドット打ちしてます。背景との差別化は重要。
博士の頭身も少し上がってるしね。