ルエミーザ博士の考古学講義 第六回 「巨人霊廟」

世界の史跡には数々の巨大なものがある。巨大な門、巨大な部屋、巨大な像。
たかが2mに満たない人間が利用する建物に何故このような巨大なものが必要だったのだろうか。
そもそも、誰が最初にこんな巨大なものを造ろうと考えたのか。

巨大な人間の像というのも不思議だ。不思議に思わないとすれば、それは世界中にそういう例があるからであり、王や貴族などが自分を誇示するために巨大な像を作らせたという説が定着しているからだろう。
権力の誇示という意味では、エジプトのラムセス2世の例が有名だろうか。彼は自分の巨大な像をあちこちに作っている。それ以外では「神」と呼ばれる対象が巨大な像として作られている例が最も多いだろう。
仏教文化圏での大仏、ギリシャのゼウス神殿や数々の神像、数え切れないほど世界中に存在する。

こういう、物を作ることにおいて、今の話で言えば「偉大さを表現するために巨大な人間像を作ってみたらどうなるだろう」という発想をもった人間がいるはずなのだ。さらに言えば「巨大=偉大」という発想も必要なはずだ。

冷静に考えれば突飛に思える「人を巨大サイズの像にしよう」という考えも、逆に考えて「かつて巨大で偉大な物が存在していたのでは」と言う方が自然な気はしないだろうか?

おっと、何も根拠も無くこんなことを言っているんじゃないぞ。ちゃんと根拠になる物があるんだ。
それがこれから講義するフィールド、「巨人霊廟」だ。

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「これも他の巨大像と同じなんじゃないの?」と言わないように。
思いっきり「巨人」霊廟という名前がついているし、フィールドに散らばる古文書を読むと、かつて巨人族と言うものが存在し、さらには何人かの巨人達の中心人物の名前まで書かれている。

このフィールドは導きの門に比べると崩壊が進んでしまっている。
導きの門より遥か昔に作られたフィールドということだろう。
ここも導きの門と同じようにいろんな文明の様式が混ざっているように思える。

東南アジアの文明、カンボジアのアンコールワットやジャワのボロブドゥールに似た様式があるかと思えば、導きの門と同じようなメキシコ系の文明の様式も見受けられる。さらに巨人像が並ぶ壮観な部屋にはインド様式の仏像を思わせる女性巨人像が並んでいる。導きの門がメキシコ・南米系に固まっていたのとは違い、幅広い地域の古代文明の様式が見受けられる。

f022さらに興味を引くのが、古文書や壁画などに見られる「塔」というものだ。
古文書にも壁画にも、かつて巨人族が「塔」と呼ばれる空を飛ぶ物を作ったと言う事が記録されている。
さらにはその「塔」を作った目的は「母」と呼ばれる何かを空に帰す為だと言う事もわかっている。

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「母」といえば、巨人族の長兄と思われる像の両脇に女性の顔をかたどった祠のような物があるのだが、何か関係があるのだろうか。

巨大な空を飛ぶ「塔」。これは現代で言うロケットみたいな物ではないか。
そういえばインドネシアのスク寺院やエジプトにもロケットのような物が描かれたレリーフがある。
絵画や文献にもロケットを思わせるものは多数ある。

もし本当に巨人族がロケットを作る程の高度な文明を持っていたとしたら、その技術はどこから得たのだろうか?
後に講義するフィールドの古文書などから推測出来るのだが、このLA-MULANA遺跡に住んでいた者たちは基本的に遺跡の中で文明を発展させているらしい。
外の世界を知らない文明がロケットなどという空を飛ぶ物を作ろうと思ったのは何故か?

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巨人霊廟にはナスカの地上絵や、オーストラリアのアボリジニの伝承にある天空神ウォンジナなど、宇宙人との関連説のある遺跡や天体に関連した壁画が多数ある。
ひょっとすると遺跡の外、というか地球外の文明からロケットの作り方を教わったのかもしれないな?

それでも巨人達にロケットが必要だったのかということと、「母」を空に帰すというのがわからないままだがな。

実はこの「母」や「塔」に関しては、他のフィールドの古文書にも書かれているし、巨人が作ったと思われる塔も存在する。
この巨人族自体がLA-MULANA遺跡のあらゆるフィールドに関連しているようだ。

古文書には、巨人族は争いを起こし、滅んでしまったそうだ。
ここまで調べて思ったのだが、巨人ってのは土木作業に関しては最高の労働力だろうなと。
ひょっとすると地球上の人間の力でどうやって動かしたのか、積み上げたのかわからないような巨石遺跡なんかも、こいつらが作れば軽いもんだろうな!

おぉ、そう考えると、人力では遠い距離に感じるインド、インドネシア、メキシコなんかもこいつらの体なら案外楽にたどり着ける距離なのかもしれない。

もし巨人族の生き残りが地上に出て、各地に渡って自分たちの文明を伝えていったとしたら、広い範囲の文明様式が巨人霊廟に見られるのも、巨石構造物が世界中にあるのも不思議ではないかもしれん。

とはいえインドネシアからメキシコは海を渡るからなぁ……と思ったが、ムー大陸が存在したとすればそれほどの距離の航海でもなさそうだな!

さらに考えると、世界各地に残っている巨人伝説。妖怪やらモンスター、さらにはUMAとして巨人族を見た物が伝承として残しているのかもしれない。

想像だけなら世界の考古学の謎は全て解けてしまうがな!一応私も学者なので想像だけで結論を導こうとは思わない。
巨人霊廟はどうやら巨人族の行いを記録したモニュメントのようなフィールドのようだ。この先の講義で他のフィールドの中にも巨人族に関する話は何度も出てくるので、今日の講義内容は忘れないようにな!

ルエミーザ=小杉